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1 共同親権の基礎知識

(1)親権とは

親権とは、父母が未成年の子どもを一人前の社会人となるまで養育するため、子を監護教育し、子の財産を管理することを内容とする、親の権利義務の総称と言われています。令和8年4月1日法改正により、子の人格を尊重することや、子に親と同程度の生活をさせることなど、親の責務が明確に定められました(民法817条の12)。

父母が結婚している間は、共同で親権を行使します(民法818条3項)。しかし、離婚後は、父又は母の単独親権、又は、父及び母の共同親権となります(民法819条1項)。

日本では、以前は、父母いずれかを親権者とする単独親権を定めることしかできませんでした。しかし、令和8年4月1日から、共同親権制度が導入されました。本記事では、あらたに導入された共同親権制度の概要についてご説明します。

(2)共同親権と単独親権の違いとは

・単独親権

単独親権は、父母が離婚したあと、どちらか一方だけが親権者になる制度です。子の進学、転居、医療、財産管理などの重要な判断については、親権者となった親のみが行います。

・共同親権

共同親権は、離婚後も父母の双方が親権者になる制度です。上記の重要な判断については、原則として父母が共同で行います。

ただし、日常的な養育については、一方の親が単独で行うことができます。また、子に緊急手術を受けさせる必要がある場合など「急迫の事情」がある場合は、一方の親だけで判断できます。

緊急性のない重要な判断について、共同親権者間で意見が対立する場合には、一方の親が家庭裁判所に申し立てることによって、家庭裁判所が、その判断を行う親を父母どちらかに指定することになります。

 

2 共同親権が適用される範囲

(1)離婚時における選択肢

令和8年4月1日以前に離婚した父母の子については、すべて、一方の単独親権と定めているはずです。

令和8年4月1日以降に離婚する場合は、母単独親権、父単独親権、共同親権のいずれかと定めて、離婚することができます。

(2)離婚後の親権者変更

一度決まった親権者を変更する手続きとしては、子又は子の親族(父母など)が家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てる方法があります(民法819条6項)。この点は、離婚した時期を問いません。

したがって、親権者変更には、下記のとおり3通りの状況があることになります。

母又は父単独親権から父又は母単独親権

母又は父単独親権から共同親権

共同親権から母又は父単独親権

親権者変更が実際に認められるか否かは、「子の利益」の観点から、親権者を変更する必要性があるか否かによって、決せられます。

 

3 共同親権のメリット・デメリットとは

(1)共同親権のメリット

・父母両方が子の養育に関与することができる

単独親権を選択した場合には、親権者とならなかった親は、子の養育に関与することについて、法的な権限がありません。しかし、共同親権を選択した場合には、子を監護していない親も親権者として子の養育に関与することができます。

(2)共同親権のデメリット

・子に関する重要な判断が遅れる可能性がある

共同親権を選択した場合には、父母両方が子にとって重要な判断について関与する権限を持つことになります。この点は、既述のとおりメリットともいえる一方、父母間である重要な判断について意見が対立してしまった場合に、家庭裁判所にどちらが判断する権限を持つか指定してもらう必要があります。したがって、単独親権とした場合に比べて、子にとって重要な判断が遅れてしまう可能性があります。

 

4 双方で意見が対立した場合の裁判所の判断基準とは?

離婚の際、単独親権か共同親権を選べるようになったことは、ご紹介したとおりです。では、父母間で離婚協議中、単独親権とするか共同親権とするかについて対立した場合、どのようにして親権者が決まっていくのでしょうか。

親権者が確定しないまま先に離婚することはできません。親権について対立し話し合いがまとまらない場合には、父母いずれかが離婚調停を申し立てて、親権者を決めることになります。調停や審判で親権者を決める場面では、下記の場合には、共同親権を選択することができないとされています(民法819条7項)。

・父又は母が子の心身に害悪を及ぼす(虐待など)おそれがある場合

・父から母、又は、母から父に対する心身に有害な影響を及ぼす言動(DVなど)の有無や、親権者について協議が調わない理由などの事情を考慮して、父母が共同親権を行うことが困難である場合

このように、父母のどちらかが子どもに虐待をしている場合や、父母が協力して親権行使をすることができない事情がある場合には、共同親権を選択することはできません。

 

5 まずは弁護士に相談を

共同親権が導入され、親権について柔軟に取り決めることができるようになりました。他方で、選択肢が増えたことで、かえって判断が難しくなったという方もいらっしゃるかもしれません。

親権者を定める際の注意点や、意見が対立した場合の進め方について、お一人で判断することは難しいと思います。まずは、弁護士に相談し、法的な観点から助言を受けることをおすすめします。

 

この記事を担当した弁護士
弁護士法人かばしま法律事務所 所長弁護士 椛島 修
保有資格弁護士
専門分野離婚
経歴昭和29年12月 福岡県柳川市で出生
昭和52年 3月 福岡大学商学部第二部商学科卒業
昭和57年10月 昭和57年度司法試験合格
昭和60年 3月 最高裁判所司法研修所卒業
昭和60年 4月 福岡市で弁護士登録・同時に丸山隆寛法律事務所へ
平成元年 4月 久留米市で「かばしま法律事務所」設立
平成16年 4月 福岡県弁護士会民暴委員会委員長
平成17年 1月 人権擁護委員(法務省所管)
平成17年 7月 久留米市政治倫理審査会会長
平成21年 4月 福岡県弁護士会副会長(二期目)
平成24年11月 経営革新支援機関(経済産業省認定)
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