離婚後、事情の変更を理由に養育費を2の1以下にまで減額することが認められた事例
事案の概要
Jさんは、Dさんと5年ほど前に離婚。離婚の際、調停で養育費の金額は月4万円と決められた。Jさんは5年間養育費を支払い続けてきたが、Jさんが転職し収入が減少したこと、再婚し子供ができたことから、養育費の支払いが経済的に厳しい状況となった。
そこで、Dさんに対し、養育費の減額を求めて調停を申し立てた。
結果
養育費は今後1万7500円とすることで調停が成立した。
解決のポイント・解決までの流れ
Dさんは、なかなか譲歩しようとしなかった。調停委員も、これまでJさんが養育費の支払いを続けてきたことを理由に、Jさんを説得しようとした。
しかし、Dさんの収入が離婚後大きく上昇しており、当職が計算したところ養育費の適正金額は1万5000円程度だった。すなわち、無理に調停を成立させなくとも、最終的には審判で当方に有利な結果となる見通しであったことから、当方も譲歩はしなかった。調停委員に対しても、計算結果を示し、「その金額から大きく離れた金額をDさんが望むなら、審判にしてください」と明確に伝えた。最終的にはDさんが妥協し、1万7500円で調停が成立した。
もちろん、金額だけを考えれば1万5000円から妥協しないという選択肢もあったが、JさんはDさんが親権を持つ子と面会交流を続けており、調停で成立させた方が後に禍根を残さないと考えたことから、当方も譲歩することにした。
解決までの期間
受任から4ヶ月
当事者の感想・様子
Jさんは自身の言い分が概ね認められたことに、ホッとしている様子であった。
担当弁護士からのメッセージ
養育費の金額を話し合いで決めただけであれば、また話し合いで変更することが可能です。しかし、今回の事例では、養育費の金額が調停で決まっていたので、支払を怠れば強制執行を受ける可能性がありました。そのような場合でも、新たに調停を申し立てれば、減額が認められる場合があります。
また、調停委員は調停を成立させるために譲歩を強く迫ることもありますが、必要な譲歩か、不要な譲歩か見極めることが大切です。養育費などでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
昭和52年 3月 福岡大学商学部第二部商学科卒業
昭和57年10月 昭和57年度司法試験合格
昭和60年 3月 最高裁判所司法研修所卒業
昭和60年 4月 福岡市で弁護士登録・同時に丸山隆寛法律事務所へ
平成元年 4月 久留米市で「かばしま法律事務所」設立
平成16年 4月 福岡県弁護士会民暴委員会委員長
平成17年 1月 人権擁護委員(法務省所管)
平成17年 7月 久留米市政治倫理審査会会長
平成21年 4月 福岡県弁護士会副会長(二期目)
平成24年11月 経営革新支援機関(経済産業省認定)